■ フィルムカメラのデジカメ化LX6号機

2017年3月25日公開

構造見直しを検討しているLX5号機の進捗はなかなか進まないので、エミュレーター回路をプリント基板化したのを契機に5号機をすっ飛ばして6号機を先に製作した。今回も更なる薄型化にもチャレンジしている。

最近カバーを付け替えた4号機との比較である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もはや、1ミリ2ミリの差の世界になってきている。また、今回は当面ダイヤルスイッチは非搭載で使用してみようと思っている。これ迄は便宜上搭載してきたのであったが、内部の部品配置はFPCケーブルの届く範囲に配置しなければならないという制約があり、NEX内の部品配置に従わざるを得ないので、これに沿って取り付けている現在の位置ではカメラを保持した時にボタンに触れ誤操作することがあったためである。

現在、薄くするにあたり厚みを支配しているのは、バッテリーとLCDとダイヤルスイッチである。バッテリーは仕方ないとしても、これらをやめればバッテリーの出っ張りまで突き詰めることができるのである。以前タッチ操作を有効にすると、ダイヤルスイッチがないと動作がおかしくなることは確認しているが、タッチ操作を無効に設定すれば無くしても露光自体は問題ないことも確認済みである。ただし、まだ表示がおかしくなる時があることが判明しており、原因を究明中である。

今の自分の使い方では、NEX側の設定も一度決めたらほとんど変更はしないからスイッチ類は不要といえば不要である。ISOは100固定、クリエイティブスタイルは風景固定、ホワイトバランスもAWB固定、メニューも画像消去以外はほとんど触らないし、画像拡大プレビューを撮影後のピント確認のためにたまに使用する時があるくらいである。ライブビュー撮影も構造上、及び操作上煩雑なので使用していないし、無限遠調整時やフォーカシングスクリーンとセンサー位置の合わせこみ時以外は使用しないので、一旦調整が完了すれば不要である。ただし、LCDは現状では無いと困るので搭載している。ちゃんと撮れたかの確認はまああるに越したことはない程度なのだが、バッテリー残容量の確認には必要だからである。

究極の厚みを目指す意味では、LCDも取っ払ってしまうことも一旦考え、次のようなカバーも発注したのであるが、思わぬ伏兵のSDカードスロットが結構厚みがあり、ちょっと寸法を詰めすぎたということで、せっかく発注したのであるがこの蓋はボツとなった。LCDが無いと撮影結果がその場で確認できないので、フィルムのようにドキドキ感を味わえるかもと思っていたのだが、。

 

 

■ LXデジタル6号機

基本構造は、これまで通りの搭載方法である。

今回はシャッターエミュレータの配線をプリント基板化したので、配線作業自体はだいぶ楽になった。

カバーはLX4号機と比較して厚み寸法を1mm薄く発注したのだが、結構部材の厚みが厳しく色々手を加えねばならなかったのである。また、電池の上部に積層配置していたArduinoの設置場所が厚みを変更したため搭載できなくなったので、センサー側へ変更した。

 

 

厚みに関しては、この辺りが限界であろう。

さらに、フィルムガイドレールを削らないで済むように、センサー削りである。今回は、MXで実証済み結果をもう少し進めて、削り量を多くしている。これは、どうせ削るのであるから、受光面をよりミラーボックス内へ侵入させるためである。現状のままでも、レンズ側の無限遠調整範囲は大分少なくなって来ていることから、ノーマルのレンズの結像位置へ近ずけられる可能性が期待できるからである。つまりフランジバック位置に調整可能かもしれないという期待である。これが実現すれば、手荒な調整からも解放されるので、エレガントであるのだ。

これまでは、成り行きで対処してきたのであり、レンズ側の調整もその一つであったわけだが、もう少し定量的な検討をしてみたのである。

イメージセンサーの詳細スペックなどは解りようもないので、実測値を元に計算をしてみた。どのようにしたかというと、不動センサーのカバーガラスを割って調べたのだ。

 

まずフィルムの場合は下図のような関係である。

これをデジタルの場合は、現在の最終形は次図である。(ガイドレールにダイがあたる位置までミラーボックス内へ侵入させている。)

実際は、センサーの受光面、すなわち結像面はダイの中になるので、拡大すると次のようにまだ届いていないことになる。

一方、フィルムの場合はフィルムとマウント(レンズ)との間には空気しかなく、デジタルの場合はイメージャーカバーガラスとOPTフィルターがあるので、これらのガラスの屈折率が空気と比較して大きいので、結像面はフランジバック値より遠くなる。遠くなる距離dは、次の計算で求められる。

d = (1-1/N)xD

opt=0.6mm Cover=0.7mm

現行のセンサーの実測値は、D=1.3mm Nは当然スペックが判明していないので定かではないが、光学ガラス素材の屈折率はおおよそ1.4から1.7ぐらいであるので、ここでは1.5としてみた。すると、dは0.43mmとなる。つまり現在使用しているセンサーを取り付けるとフランジバックが0.43mm伸びた位置が結像面となっているとおおよそ計算できるのである。にもかかわらず、もっとセンサーをマウントに近づけなければならないのは、受光面が届いていないからである。

カバーガラスと受光面の距離は実測では1mmであったので、1-0.43=0.57mmセンサー受光面をマウントへ近づけ、ガラスの屈折率分伸びた結像面位置に合わせる必要があることがわかる。もちろん、センサーの製造上のばらつきも存在するので、この辺りにある程度調整できなくてはダメなのである。現状は、センサーのダイがフィルムガイドレールにあたる位置にあるため、おおよそ0.57mm届いていないということになり、それゆえマウントに近づけるためにミラーボックス内へ入れるようダイを削る必要があるという結論である。微調整の方法も検討必要だが。また、そうなるとOPTフィルターがLXのシャッターと干渉しないかどうかにも注意を払う必要がある。

とはいえ、結果的には以前のトピックスにも書いたがOPTフィルターがシャッターと干渉した経験があるので、残念ながら少々近づいたところまでで諦めた。ただ、これによりこれまで調整範囲外で使用できなかったPENTAX M 40mm f2.8がギリギリ使用できることがわかった。パンケーキレンズであるが、せっかく入手したのに調整範囲が狭く使用できずに眠っていたのを活用できることは嬉しい。