■ フィルムカメラのデジカメ化 Nikon F2編

2017年4月17日公開

この機種はもともと想定にはなかったのであるが、リクエストに応えてのNIKON第二弾となる。新たな機種に取り組む時は、色々な障害に直面するものであり、ブレークスルーできるかが完成への鍵となる。

今回、最初の課題はシャッター信号の取り出しである。F2は全くのメカ駆動カメラであり、データバック用の信号出力などは出ていないからである。唯一、フラッシュ用のシンクロ端子があるのみで、これは結果的には使用できなかった。NEXの露光開始までのラグがあるからで、F2のシャッター幕動作前に露光開始がなされるトリガーとはなり得ないということが判明したのであった。1/8より早いシャッタースピードでは、NEXが露光開始前にF2のシャッター動作が完了してしまうのである。

さらに、フォーカシングスクリーンの調整が課題であった。このカメラは非常に精巧にできており、調整は不要とまではいかないにせよ、コンマ数ミリのシムで最終合わせを行うべく加工精度が追い込んであるのだ。従い、この取り組みに合うように大きくズラす余裕はなかった。ミラー角度調整も同様である。まさに精巧なメカニズムをとことん追求したカメラであったと感心するばかりである。

そうゆう訳で、さすがに今回は今までのようにはいかなかったのである。形だけは、そこそこの仕上がりとなったが。

まあ、一旦無限遠撮影機としてはできたので、すでにNew FM2で調整済みのレンズがあるので試し撮りに持ち出してみた。

メカ駆動カメラということで、撮り味は申し分なかった。

 

撮った写真は以下。センサー上の真ん中近辺に大きなゴミがあったのは残念。当然、いづれ取り除くが、。

 

■ NIKON F2編

以前より気になっていた機種ではあったが、さすがに手を出すのは控えていたのだが、機会が到来したということである。チタンの価格が未だに高額なのには驚きで、さすがに手が出ない。アイレベルタイプもそこそこの値段のブツが多い。それに比べてフォトミックタイプは比較的安価に手に入りそうである。ぼちぼち揃えても仕方ないので、今回は一気に3台を入手した。さらに、先にNEW FM2をやっているので、レンズは調整済みのものを利用できることがやる気を起こさせたのである。エミュレータは基板化した回路を当てている。ただ、これを製作中に発注していたオールインワンの基板は間に合わなかったので、今回はインタフェース部のみのプリント基板である。それでも配線が減ったぶん、製作時間は短縮した。さらに、F2は大柄であるので、スペースも余裕があり部材配置は楽であった。今回も、ダイヤルスイッチは当面非搭載である。

問題のシャッター信号は、ないものは作り出すしかないということでスイッチを取り付けることを検討してみたのだ。ただし汎用部品を使いたかったが良いものが見つからず、せっかくの精巧なメカ構造を崩したくなかったのと、精巧なメカの動作を阻害するものを取り付けるのは嬉しくないので、ちょっと簡易な部品を使用した。

これはエンコーダ等の部品でよく使われるブラシ電機子であり、バネの性質もあり折り曲げ角度を調整すれば、ONストロークを容易に調整できる。F2のレリーズ時に唯一上下に動く機構に取り付け、レリーズボタンを押し込んでシャッターが動作する直前で底カバーにつけた電極に接触するように調整することでNEXの露光が先行開始後F2のシャッターが動作するようタイミングを計れるという期待である。

【追記】少々解りにくかったので、もう少し詳細図を挿入

この金属端子を流用

このネジに共じめでとめている

結果としてはなかなか良い位置で半押し状態、すなわち先行露光ができる信号の取り出しができたと思うし、構造がシンプルで本体への加工は避けられたのが嬉しい。

次にフォーカシングスクリーンの調整であるが、これは難題となった。もともと精密に加工されて組まれているカメラであるので、調整は最後の微調整用という構造なのである。従って、範囲は狭く不可能であることがわかった。ファインダーを固定できないところまで分厚いスペーサを挟んでみたところ、ようやくピントが合う位置とセンサー結像位置を合わせ込めることは確認できたが、現実的にはファインダーが浮いてしまいセッティング不可能。ミラー角度の方も調整できないようで、どうやら今のところは無限遠専用機としてしか完成できないと判断した。

初物は手作り板金で、というポリシーで製作したカバーであったが、ちょっと冷めた気分になり、今回はカバーもアルマイト処理は当分せずに、アルミ板金のままにした。アラが目立たないように、レザーを貼ってみたが、ぱっと見にはなかなか良さげである。

さて、果たしてフォーカシングの調整方法が解決するであろうか。それまでは無限遠専用機ということになる、、。

【フォーカシング課題追記】

この課題を解決するには、フォーカシングスクリーンの調整範囲をなるべく少なくするような方策が必要である。そのためには、センサーの結像面を今の位置よりできるだけマウント側に近づけることが方法の一つと言える。もちろんぴったしがいいのはわかっているが、F2のシャッターと干渉しては元も子もない。それで、センサーのダイ削りである。

右がノーマル。左は今回削ったイメージャー

New FM2の時に、NIKONのフィルムガイドレールの開口部高さ寸法はセンサーを削らずとも収まるとわかったのであったが、残念ながらF2は別であったのだ。結局PENTAX同様イメージャーを削っているのである。これをダイ削りまで行うことで、LX6号機の時のようにマウントに少しでも近づけば、フォーカシングスクリーンの調整範囲を狭められると期待したのである。

あとはシムを噛ませて調整するわけであるが、今回はFM2時と同じミラー角度調整で逃げることにした。と言っても角度調整は難しいので、いわゆる手荒な方法としてミラーストッパーを削りながら最適値に合わせ込む方法とした。3台揃える意味がこうゆう場面で発揮されるのだ(笑)。虎の子の一台であったなら、こうはいかない。

またまた手荒な手段を用いることになってしまったが、これにより、近景もクリアすることができてNIKON F2も一旦完了である。