フィルムカメラのデジカメ化(最終課題克服編)

2017年5月6日公開

フィルムカメラのデジカメ化において、最後まで課題として残存していたのは、センサー結像位置の合わせこみの課題であった。一応現在は、レンズ側の調整と本体側の無理矢理な調整により何とか撮れるようにはなったのだが、当初の目論見としては本意ではなかったのである。通常レンズが使用できるという目標については、途中段階で判明した様々な事実から現実的には諦めていたのであった。それが、NIKON F2の課題解決のために行ってみたのがきっかけで、これまで未解決であった課題解決として進展したのである。

LX6号機の製作時に、実際にセンサーをどれだけマウントに近づけなければならないかは、おおよそ計算で算出できていたので、後はシャッター幕との干渉さえクリアできれば課題は克服できる見込みはあった。しかし、確証がなかったため見合わせていたのだが、F2を完了させるためには避けては通れないということで、恐る恐るF2でトライしてみたところ何とかギリで干渉しないことが判明した。一応、事前にガイドレール側からスペースを測定し行けそうという感触はあったのだが、実装すると何が起こるかわからないという経験則があるのだ。調整後、どうやら通常レンズで撮れることが確認できたので、試しに所有しているディスタゴンやプラナーを装着してみたところ、無限遠がでることが確認できたのである。

それで、PENTAXにも反映することにした。

F2時は恐る恐るであったが、LXの場合は幸い、実際にシャッター幕との干渉に関してカメラ内から確認することができる。これは修理放棄状態の一台があるので、実際に取り付けて確認することができたのである。

 

 

■ 最終課題克服編

以前の計算では、フィルターやイメージャーカバーガラスの屈折率は不明ではあったが、仮の値を設定したとして、おおよそ0.5mm前後イメージャーを削れば通常のカメラ側の微調整で追い込める範囲になると予想できているので、実際に削ったものを仮固定して内部の確認を行った。

先幕がフィルムガイドレールに近いので、これが干渉しなければ問題ないということになる。この画像ではフィルターがまだ未実装であるので、フィルター分のスペース有無が本件の成功の鍵となる。

LXはチタン幕であり、張りのテンションも高い上、幕をスムースに滑らせるためと思われるガイドが装備されているので、シャッター幕走行時のたわみも抑えられているようだ。たわみはセンサーとの干渉を誘発する恐れがある。(ちなみにこの修理放棄した個体は後幕の固定位置合わせ処理ができず修理停滞中。多分無理、笑)

結果、何とかスペースはありそうなことは確認できたため、まず4号機をターゲットに実施したところ、約0.5mmの削り量では少々オーバーインフになった。0.5mmは多かったようだが届かないよりはマシで、遠ざける調整はさほど難しくないのでこの削り量を基準にすれば良いことが確認できた。

結像位置が変わったため、フォーカス調整はやり直しとなる。これが結構大変な作業となったが。LX3号機、4号機はミラーストッパーが折れている(折った、が正しい)ため復旧が大変であった。幸い、LXのジャンクが2台あるので(ジャンクにしてしまった、が正しい)、部品をとって交換できたが、取り付け作業が細かく結構難儀を強いられたのだ。ここまで到達できると思っていなかったために手荒な調整を施した機種は、復元は苦労せざるを得ない。

イメージャーは手削りなので、一定の寸法に加工が難しい。そのため、バラツキが出るのだ。一台完了させてはもともと取り付いていたセンサーを削り、次の個体と交換し、フォーカス調整の繰り返しで、LXは3、4、6号機、他はMX、ME、さらにFM2と全てが完了した(LX5号機は未完成のままなので停滞中)。1号機はデジカメ化記念機として残してあるだけなので未実施、2号機は部品故障時(壊してしまった、が正しい)の解析用にリファレンス機として運用しているので、これも未実施である。

最終的な削り量を施した加工済みセンサー

これにより、フォーカス調整後通常レンズを装着して試写してみたところ、使用できることが確認できた。

ボディ側の課題が解決したので、専用化したレンズ側も元に戻すことになるであろう。これは暇な時に実施するつもりである。MEやMXの場合、以前のセンサー位置に対する無限遠調整のままでは、無限遠では後玉がミラーと干渉する時があったため、戻すことには意味がある。ただ、通常のレンズが使用できるようになった今となっては、もう用無しといえばそうではあるが、。LXでは超オーバーインフレンズとしてはこのままでも使用できるが、、。

何だか随分回り道して到達したように感じるが、これで、このテーマも終結と言っていいだろう。