■ フィルムカメラのデジカメ化(NikonS2編)

2022年1月 再度公開

サーバートラブルからの復旧に伴い、元の記事は消えてしまったので、新たに作成したものである。

ブログ記事も消えたので、後日談となる「地獄バネの洗礼」の件も合わせて掲載している。

ライカM4のフルフレームデジカメ化をやってからは、しばらくやる気が起きなかったが、たまたま入手することになったNIKON S2を触っていてやる気が湧いたので、久しぶりに新機種のデジカメ化である。

なるべく裏面カバー以外のボディには加工をしたくないので、試作機としてもう一台ジャンククラスのボディを入手し、そちらで加工などの検討を行った後、最後にターゲットボディへ鞍替えするという方針で実施したのである。ちなみにこのジャンクボディは、シャッター幕の所々に穴が開いているシロモノだった。

 

完成後のテスト撮影時の様子。

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■ Nikon S2

デジタル部を決めるにあたって、すでにライカM4を実施済なのでフルサイズという選択肢も考えたのだが、サイズ的に簡単ではなさそうであることと早く製作して持ち出してみたかったため、APS-C (α5100)とした。これまでに何台も使用してきているため、要領はわかってるので淡々と進めることができるのである。

Sシリーズの背面カバーは底カバーと一体構造であり、以前やったライツミノルタCLと似ているので、部材取り付け構造も同様な方法を採用している。

イメージセンサーのダイとカバーガラスを削ってフィルムゲート内へシャッター幕と干渉しないギリギリまで侵入させて取付ける構造も同様である。

この機種も、イメージャーを削って無限遠が出る位置へフィルムガイドレール内へ入れると、S2のシャッター幕とのクリアランスがギリなので、ライカM4一号機同様、OPTフイルター類はマウント側に設置している。

 

シャッター同期信号の取り出しについては、底部から得ている。S2はこれまでやったレンジ機とは違いシャッターボタンの上下機構が底部にまで伝達されており、軍艦部内を施工する必要がなかったのは幸いであった。この加工は、唯一本番ボディにも必要な加工となる。

あとは他機種のように、シャッターエミュレータや基板類をブラケットに固定して、ブラケットをボディに取り付ける構造である。

一通りジャンクボディで組み上げ、テスト撮影を実施後本番ボディへ部材を移植するだけである。

完成した姿。

 

 

 

■ 地獄バネの洗礼

当初、S2を入手した際についていたのは50mmのレンズだったので、センサーサイズをAPS-C としたためにちょっと狭く感じたのだ。それで、新たに28mmを入手するのだが、ここで思わぬトラブルに見舞われることになる。

Sシリーズのレンズ交換の流儀など全く知らなかったため、レンズが外れなくなる現象に遭遇してしまったのだった。さらに色々やっているうちに、ピントリングすら回転しなくなりもはやアウトかと思った次第である。

それでもせっかくデジカメ化したS2なので何とかボディだけでも救済したいと思い、手荒な手段になってしまったのだった。幸い、ジャンク機があるので、レンズさえ外せば復旧の期待が持てたのも決断の決め手となったのである。

とりあえず、構造からマウントごと外せば何とかなるかと思ったのだが、フロントカバーを外さねばマウント固定ビスへアクセス出来ない。残念ながら28mmレンズは標準50mmよりも外径が大きく、カバーも外せないのでカバーを切断するしか仕方ないということになった。

無残な結果とはなったが、何とかマウントごとレンズが外れ、ジャンクボディからマウントとカバーを移植することにより復旧できた。その後残骸から何とかレンズをパイプレンチでロック機構を破壊しながら取り外すことができた。ただ、レンズの外装は傷だらけとなってしまったのだが。

なんとか復旧したということで、気を取り直してネットを調査した結果、これは「地獄バネ」と呼ばれていることが判明した。レンズ装着時にヘリコイドを無限遠位置にして行わないとこうなることがあるのがわかったのである。

とはいえ、せっかく入手した28mmで試し撮りも結果が良かったので 、これで終わるのは悔しかったこともあり、さらにもう一本入手することになる。

えらい出費となったという、悲惨な話であった。(涙)