■ フィルムカメラのデジカメ化New FM2

2016年12月23日公開

本来は三周年記念の一台を製作しようと、次なるボディ用にイメージャーを削っていた時、ふと傍に出してあったジャンクのNikon FEが目にとまり、センサーを当てがってみて驚いたのである。何と削り途中のセンサーがガイドレールにぴったり収まったのであった。PENTAX 用としてはまだ削り足りない段階であったにも関わらずである。それで、削ってないサラのセンサーをあてがってみると、これがまたすっぽり収まったのであった。

もともとガイドレールの開口部の寸法は統一規格であると勝手に思いこんでいたのだが、どうも違うようである。個体差かも知れないと手持ちのF3Tで試したところ、同様であることが確認できたのである。これなら最初からNikon でやれば良かったと思いつつ、それならNikonバージョンをやってみようと思いたち、今回はNikon の銀塩機をターゲットとした。機種を選定するにあたり、所有しているFEは不動のジャンクのため使用出来ないので、新たにマニュアル機を物色したのだ。新しい機種をターゲットとすると、新たな障壁に遭遇する可能性も予想されるため、さすがにF3Tには手をつける気がしなかったので、結果、New FM2にだどりついたのである。センサーを当てがうと、同様に未加工で収まることも確認済みである。

 

■ NIKON New FM2編

コンパクトな機種で、中古価格は程度の割に高いと感じる個体が多い。2万弱が相場のようで、良いものは4万以上と人気が高いのかもしれない。マニュアル露出機であるのと、モータドライブとデータバックのオプションがあることが選定の基準となった。信号取り出しの為に、必要条件としているのである。この頃のNIKON機は、フィルムを装填した後、数枚分は一定のシャッタースピードでシャッターが切れるため、空うちをしなければならないのがこの用途には不要であるので、AE機は避けたいのである。

部材配置構造はLX3号機用と同様である。

今回は初めてのNikonであるので、まずはシャッター信号の取り出し方の検討が必要となった。すぐに思いつくのは底面にあるモータードライブ用のコネクタからの取り出しである。実機動作を確認すると、シャッター半押しで測光電源がONとなることは確認でき使用できそうと思ったのだが、測光電源は一旦ONとなるとおよそ30秒の間電源がONしっぱなしとなってしまうことが確認できた。従って、この信号を利用してMEやMXのようにNEXの先行露光に流用した場合、測光電源がOFFするまで次の露光が出来ないという操作になるのである。またFM2は、完全にレバーを戻しても即座に電源OFFとはならないし、MEとは異なりレバーを戻した状態ではシャッターボタンはロックする仕様なのであった。

そこで色々と調査を行い、軍艦部内の制御基板中にあるキャパシタでディレー時間が決まっていることを突き止めたのだ。これを取り外すと測光回路はシャッターボタンを開放すれば即電源が落ちることがわかったため(本来はこれは故障として扱われる)、早速取り外してみた。実際はキャパシタの片側を外し、基板のパターンとの間に絶縁テープを挟み込む方法にした。

この改造により、測光電源はシャッター半押し中のみONという動作となってしまうが、もとよりFM2の露出はマニュアル操作であり回路は測光機能のみのため、フィルム撮影時であれば適正露出の判断ができず困るがデジタルなのでLCDで結果が即確認できるので必須ではない。

さらにこれまでのLXであれば、ワインダーの信号をデータバック端子へ接続替えしてNEXの先行露光用信号として取り出していたのだが、FM2のデータバック端子は本体を分解しないと配線が替えられない構造であることがわかり(LXは底面に設置されているので底蓋を開ければできる)、簡単には配線替えはできない。よって、今回はMEやMXのように底面にあるモータドライブ信号端子から直出しとした。電圧ー接点信号変換回路のフォトカプラーも、MX同様本体底部に収納している。また、配線を通すためにボディを少し削っている。

(追記:後日、よくよく観察するとデータバック端子は底面側から配線がえができることが判明。)

これらの始末により、FM2のシャッターボタンの半押しでNEXの先行露光を制御できるようになった。

次にレンズの無限遠調整とフォーカシングスクリーンの調整であるが、これは難題となった。

NIKONのレンズは構造がPENTAXのそれとはだいぶ違うため、なかなか分解ができなかったが、ようやく方法を突き止め(ようは力づくでよかったのだ)一旦調整も完了した。ヘリコイドの回転を制限しているストッパーのホロビスを緩めて位置を合わせることにより調整が完了した。ただし、力づくの代償として、NIKKOR 28mmを一本ボツにすることになってしまったので、同じレンズをさらにもう1本入手しなければならなくなるというオチもあったが。ホロビスの材質が弱く、2本ナメてしまったため緩められなくなったのだ。(今回の用途には使用不可ということであって、通常使用ではそのまま使える。)

 

フォーカシングスクリーンの方は、軍艦部を外してできるのであるが、ネジによる調整ではなくシムを挟む方法であり、調整範囲も少なくやりにくいのである。よって、フォーカシングスクリーンの方は一旦手をつけず、ミラー角度をいじる方法でクリアした。本来は45度に微調整する機構であるが、これを光路長を稼ぐ手段に転用したということである。ただし、45度をあえて崩すので、センターで調整するとファインダー上では上下はボケることとなる。実際の調整は、最終的には手荒な方法となったのだが、詳細は語らずということで。(笑)これもすでにMXで実証済みである。

さて、今回は初NIKONということで、予想通り色々な課題に遭遇することとなったが、遠景も近景もピントを合わせて撮れるようにはできたので、まあ一旦完成である。