ピンホールからゾーンプレートまで

ピンホールカメラをご存知だろうか。

昔ながらの針穴写真機であるが、カメラの原点とも言われている。
最近のデジカメでピンホールによる写真を楽しんでいるマニアも結構いると聞くが、レンズが無くても光の回折を利用して結像させるのが最大の特徴である。

実は自分もNIKON Dfを購入してから標準レンズで数枚写真を撮った後、次に撮ったのは自作ピンホールによる写真であった。

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*ピンホール画像例(左)と、ボディキャップと絞りユニットを組み合わせ自作したピンホール(NIKON F マウント用)*

もともと最近になって急にカメラの世界へ入り込んだのも、現在の仕事関係において身近にカメラへの造詣の深い人物がいたこともあり、少なからず影響を受けたということである。一応、自分のカメラ関係の「師匠」とでも呼ぶことにしよう。

その人はすでに40年以上もカメラを趣味としていて、光学が専門であったこともあり、研究者時代から関心のあった回折現象関係の光学技術による写真をテーマとして、昨今ではX線関係でしか実用化されていない位相型ゾーンプレートによる写真撮影へと突き進んでいるのである。
それゆえ今は、光学レンズによる写真撮影への興味は全く失せてしまっているということだ。

個人でゾーンプレートを製作して楽しんでいる人はネットで検索すると割とヒットするのだが、その大半は「振幅型」といわれるゾーンプレートによるもので、ピンホールよりもボケた画像がほとんどだ。振幅型ゾーンプレートは個人でも比較的製作しやすいから例が多いわけだが、この「師匠」は数百万円もの金額を個人で投じ、加工を半導体製造工程を扱う会社に依頼し、精密な「位相型」ゾーンプレートを作り上げたのである。それを自設計、製作の鏡筒に組み上げ、フルサイズセンサーのデジカメにマウントしている。

その写りはピンホールも振幅型ゾーンプレートも及ばないシャープなものだが、最近、そのあたりをまとめた書籍を執筆され自費出版されたので、ここに紹介するものである。単純な比較が解りやすいであろうから、一部作例を以下に載せてみた。(ただしここに載せた写真では少々判別しにくいが悪しからず)

本文には、ピンホール、振幅型ゾーンプレート、位相型ゾーンプレート(2タイプ)の4種類について、それぞれの作例を対比して、簡単な原理構造や特徴、優劣などが詳しく記載されている。

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なお、本書籍はまだ書店では販売していないので、興味があれば以下のメールアドレスに直に問い合わせて頂きたい。本人了承済みである。

連絡先 著者 笠原 修平 氏  Mailアド  fzp_24959_shuu@yahoo.co.jp