Foveon X3ダイレクトイメージセンサーの画質(その2)

デュープ画質向上の取り組みとしてシグマのカメラによる実写確認の続きである。

とはいっても、広角のDP1Merrillでそこいらの風景を撮っても比較にならないと思い、もともとの目的であるFoveonX3センサーとDfやD600などのベイヤー配列センサーとのデュープ画像の比較がやはり正当ということで、またまた理由をこじつけマクロ撮影も可能なDP3Merrillを急遽新品購入した。理由はどうであれ、何だかカメラがどんどん増えて行く。

試しに通勤途上で撮ってみると(盗撮ではないですぞ)、軽いので気軽に持ち運べてなかなか楽しい。これは普段撮りも楽しそうだということで、懸案のファインダーがないのが不便である件も光学ビューファインダーを手に入れることで一旦解決だ。75mm相当のファインダーは現在は生産しているメーカが見あたらなかったのだが、たまたま中古のフォクトレンダーを見つけたので即押さえたということだ。これで少なくともフレーミングは覗いてできるので、しっかりカメラをホールドできるのが良い。裏面モニターによる撮影は腕を伸ばしてシャッターを押すことになるので不慣れな身には手ブレし易いのである。ピント合わせはオートフォーカス機能に任せて、フレーミングはファインダーを覗いて行う軽快なスタイルで撮ることになるであろう。

dp1mdp3m

DP3MerrillとDP1Merrill

さて、DP3Merrillのほうはマクロが撮れるといっても仕様上は1/3倍と縮小撮影となるので、さらに画像解像度は約1470万画素相当であるので、デュープの場合はD600よりはDfとの比較が画素数的に近いためDfに105mmマクロを装着し1/3倍で撮ることにした。しかし残念ながらDf+105mmは、1/3倍撮影するにはデュプリケータの全長が足りないことがわかったので、ギリギリまで伸ばした約1/2.8倍で撮ることとなった。

テストサンプルは、以前も紹介した6×7判の評価用ポジである。センサーの解像画素数が少々(100数十万画素程度)違うので、同じサイズにはならないが、参考にはなると思われる。それぞれ各社の現像ソフトを使用してJpegに保存しただけなので周囲のフィルムホルダーも写り込んだままにしてある。

デュープサンプルDf_01_02

Df 105mm F8 約1/2.8倍

DPM

DPM 75mm(換算値) F8 1/3倍

どこを比較しようかと眺めていたのだが、まず気がついたのはKODAK箱の表面の描写がかなり違うと感じたのでその周辺部を100%で切り出してみた。

Dfpart2

Df 105mm F8 約1/2.8倍

Dfの画像は箱の表面がヌメっとしているが、ポジ原版をルーペで見るとツルツルながらざらつき感がある。以下のFoveonはその辺りもよく再現しているようである。

DPMPart

DPM 75mm(換算値) F8 1/3倍

また、テーブル(床かも?)の木目や目覚まし時計の金属っぽい質感はFoveonの得意なところなのかもしれない。ポジの複写という比較であればやはりFoveonのほうが忠実に再現していると感じる。しかしそれは100%で画面表示した場合に顕著に判別できるということであって、ブログなどの目的に使用するサイズによる閲覧では色合いは別として大きな差はなさそうである。実際にやってみてわかったのだが、デュープした画像を楽しむという観点でいえば、パソコンのモニター(自分の場合はiMac 27インチ)で見るので100%で表示してもあまり楽しくはない。50インチなどの大画面(しかも高解像度)であるならまだしも、結局画面一杯に表示するのがせいぜいであるので現状はあまり意味がないことだと気づいただけであった。また、レンズ性能も含まれる可能性もあるので、センサーのみの比較で一概には判定できないと考える。大サイズプリント前提なら意味はあると思うが、、。

そもそも人間の目はどうゆうセンシング方式なのかふと疑問をもったので前出の「師匠」に雑談の中で軽く話題にしてみたところ、なんとこれが得意分野の研究テーマであるとのことで小講義を受けることになってしまった。(またまた火をつけてしまったようである)「生理光学」という分野があるそうで、その中の網膜の構造を光学的に解明するのもご専門らしくウンチクを拝聴することになるのだが、その辺りは「またいづれ」ということにしよう。